I-03 不穏な海の街編

第一部

【I-014】避けられぬ対峙

ついに、長き夜の帳が明けた。  本日、昼までにポーレジオンまたはエクラヴワからの申し出がなければ、前回の恐怖が再び繰り返されることになる。昨日去ったディアーヌと入れ替わるように、朝早くから次々と帝国兵たちが到着し、物々しく戦闘準備を開始する...
第一部

【I-013】耐え抜きながら

貴様、この化け物めが。  その呪わしき力を使えば、どうなるか忘れたのか。   よかろう。ならば、思い知らせてやるとしよう。  鋭い光が、容赦なく迫ってくる。足が竦み、その場から動くことが出来ない。  脚に、一瞬にして冷却されたかのような、灼...
第一部

【I-012】潮騒の牢獄

自らの恋人を連れ去った獣使いの王に、若者は果敢にも戦いを挑む。驚異的な強さで追い詰められた獣使いの王は、万事休すとばかりに海へと身を投げた。しかし、その前に、金の鍵を飲み込んでいたのだ。若者は愛しの姫君が、普段は獣を入れておく狭い檻の中に幽...
第一部

【I-011】詰所への潜入

通信室から戻ったヴィクトールは、先程到着したばかりの、この仮の拠点と定めた建物の内部を改めて隅々まで見渡した。  試作段階の画像投影装置……これが大王の言っていた最先端の機械だろうか。その他にも、電気仕掛けの拷問道具のようなものが雑多に置か...
第一部

【I-010】不穏な海の街

翌日の朝早く、白亜の船体を持つ飛翔船は、再び内海を越えるべく西の空へと舞い上がっていた。国でゆっくりと時を過ごしていては、期日に間に合わなくなってしまう。自らが定めた計画とはいえ、あまりにも余裕のない計画だと、ヴィクトールは溜め息をこぼした...