第一部 【I-030】人質交渉 翌朝、レオナールはふたりを伴って王城へと向かった。簡素な獅子の石像が規則正しく並ぶ城門への街道には、民民の暴動を警戒するかのように多くの兵士が巡回し、彼らを獲物を狙う猟師のような鋭い眼差しで見つめていた。 やがて、吹雪く城門に辿り着く。温も... 2024.11.20 第一部I-06 凍てつく大地編
第一部 【I-029】一足先に 緑色の船体は、ようやく海を渡り、ポーレジオン付近に差し掛かっていた。……帝国領となって三月ほど経った今、かつて拷問王が統治していた海沿いの街がどう変わったのか、エマは気になっていた。しかし、船は目立たないよう高度を上げて飛行しているため、地... 2024.11.20 第一部I-06 凍てつく大地編
第一部 【I-028】白き花の影 小さな会議室の円卓上で、魔術将軍の細い指が示したのは……アロナーダとは対照的に、グランフェルテから遥か北方に位置する地域だった。世界を見下ろす『誇りある不死鳥』の首の部分に当たる場所には、フィジテールという国名が記されている。 「ここは古く... 2024.11.03 第一部I-06 凍てつく大地編